会長あいさつ

(公財)日本消防協会

会長 秋本 敏文
 

  新年おめでとうございます。火災・自然災害が相次ぐだけでなく新型コロナウィルス感染症が大きな問題となるなど、大変ご苦労が多いなかの新年ですので、心の中は穏やかでないものがございますが、新しい年をよい年とするよう、気持を新たにしてまいりたいと存じます。そのようななかで、常日頃、地域の皆さんの安全確保のためご尽力頂いている消防の皆様に心から感謝申しあげ、敬意を表します。
 私は最近、「新たな災害環境」という言葉を使わせて頂くことがあるのですが、皆様ご承知のように、まず災害の様相が変化してまいりました。近年、フェーン現象下の火災等のほか、台風や局地的な豪雨が、これまでの常識を大きく超える大規模なものになっています。また、人口動向、地域社会の状況等社会環境にも変化が見られます。消防はこうした状況変化、いわば「新たな災害環境」への変化を正面から受けとめながら、どのようなことを考え、実行していくべきか、このことは数年前から課題として位置づけていますが、新たな気持をもって対処しなければならないと思います。
 今年は、東日本大震災から10年を迎えます。阪神淡路大震災からも26年ですが、さらにさかのぼりますと、関東大震災から間もなく100年となります。このようなさまざまな過去の体験から得た教訓を活かしながら、最近の状況を直視してさまざまな対応をしなければなりません。そこで重要なのは、常備消防、消防団など関係機関のそれぞれの体制を強化するとともに、巾広い消防防災関係者、これには、行政関係の方々は勿論、学者研究者、関係メーカー、情報関係者、各種企業・団体など巾広い関係の方々の、いわば総参加、総連携、総活躍が必要でしょうし、そのためにはこのような皆様方の連携協力推進の場も必要でしょう。
 そして、災害発生現場の実情に応じ、地域の皆様のそれぞれの事情に応じながら必要な行動を展開し、被害を最小限に抑えるためには、それぞれの地域の対応が重要です。防災の原点は「地域」です。そこでは、地域の皆様とさまざまな防災関係機関との連携を密接にしながら、地域の皆様の総参加、総活躍を進めなければなりません。その場合、地域と密接につながっている消防機関の存在は極めて大きいと思われます。
 今、日本消防協会では、新しい消防会館の建設を進めておりますが、この新会館は、このような巾広い総力結集による消防防災体制の充実強化のためのお役に立つものにしなければならないと考えております。
 新年を迎えるに当たり、今の状況では安易に無事平穏をお祈りすると申しあげることはできませんが、厳しい場面がありましても、何とか、ご無事に、安全に、ご活動頂くことができますよう、ご健勝ご多幸を心からお祈り申しあげまして、新年のごあいさつとさせて頂きます。  
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