少年消防クラブ指導者研修会の概要について

 少年消防クラブ活性化推進会議では、平成24年2月11日(土)及び12日(日)の2日間、モデル少年消防クラブの指導者を対象に「少年消防クラブ指導者研修会」を東京都千代田区の都市センターホテルで開催しました。
 少年消防クラブ指導者の研修会は本年度では2回目となりますが、本研修会には、平成22年及び23年度に選定された全国のモデル少年消防クラブ指導者78名が参加しました。初日は東日本大震災被災地のモデル少年消防クラブの活動報告や少年消防クラブ員による訓練披露を行い、2日目は班別に分かれてクラブ活動に関する意見交換、情報交流を行いました。 これら研修会で得られた成果をそれぞれの地域に持ち帰っていただき、今後の少年消防クラブ運営や活動の一層の充実が図られるとともに、モデル少年消防クラブの活動が全国の少年消防クラブの活性化につながることを期待しています。
 
【概要】
1 2月11日(土)
活性化推進会議秋本委員長の主催者挨拶、消防庁山口防災課長及び 文部科学省学校健康教育石田学校安全対策専門官の来賓挨拶後、 活動報告、訓練披露を行いました。
(1)モデル少年消防クラブの活動報告
モデル少年消防クラブでもある宮城県気仙沼市立階上中学校の先生及び生徒が東日本大震災での体験及び日頃の活動を報告しました。内容は以下のとおりです。

(左から)階上中学校2年 佐藤龍一君、三浦泰貴君、教諭 大野博之氏
 
[これまでの活動]
階上中学校では、7年前から学校全体で総合防災学習に取り組んでおり、一年毎に自助、公助、共助について3年サイクルで学習し、年間35時間を防災学習に費やしています。
自助では、自分の身を守り、被害を最小限にすることを目的とし、過去の津波体験者講話、地域への聞取り調査、防災マップの作成などを行っています。
公助では、関係機関の活動内容を学ぶため、救命講習などの関係機関の各種講習、総合防災訓練の参加などを行っています。
共助では、地域と協力しともに助け合うため、消防団、婦人防火クラブ、自治会等と連携して総合防災訓練での活動を行っています。
総合防災訓練では、救出班、救護班、テント・トイレ班、炊き出し班、避難所班の5つの班に分かれ、自分たちが災害時にできることは何かを考え実行しています。
[東日本大震災に際して]
震災当日、学校へ避難してくる人の誘導、避難所のためのスペース確保、避難者へ防寒のため、自らのジャージや毛布、紅白幕、カーテンを配付、ラジオで情報収集、トイレの水汲みなどを行いました。
翌日から、避難所設営、炊き出し、食事の配布、清掃・トイレの水汲み、支援物資の運搬・整理など自分たちでできることを考え行動しました。
震災での体験を踏まえ、平成23年度では、自助についての学習に取り組みました。災害用伝言ダイヤル171の活用、非常用持出袋の中身の考案、危険箇所・避難経路の再調査をして防災マップの作成、学校での総合防災訓練の実施など、自分たちの身は自分たちで守ることを学び、保護者や地域の人たちの前で発表しました。
被災時には、自分たちができることを考え、行動することができ、共に助け合うという意識が生まれました。
協力、助け合うことの大切さ、協力すればどんな困難も乗り越えられることができるなど、経験を通して改めて知ることができました。
音楽家の演奏、学生の学習支援、救援物資、矢口消防少年団からの応援メッセージなど様々な支援を頂き、復興に向かって頑張っていく勇気と元気をもらいました。
 

映像はこちら
(1) これまで取り組んできた防災学習
(2) 被災後の活動
(3) 平成23年度の取り組み
(4) 東日本大震災を体験して伝えたいこと

 
(2)訓練披露
 東京都小岩消防少年団、矢口消防少年団が、災害図上演習(DIG)、応急手当入門コースの訓練披露を行い、研修受講者は訓練の様子を見学しました。
 
(3)モデル少年消防クラブ指導者からの活動報告
 1 十和田西高校少年消防クラブ指導者  曾津 淳也氏(青森県十和田市)
 2 ひよどり台防災ジュニアチーム指導者 林 喜久治氏(兵庫県神戸市)
 3 矢口消防少年団指導者        丸山  広氏(東京都大田区)
各クラブの発足から活動内容、成果、課題などを報告しました。
 

曾津 淳也氏

林 喜久治氏

丸山  広氏
 
2 2月12日(日)
(1)事務局から関係事業説明
   平成24年度のモデル少年消防クラブに関する事業について、事務局から説明しました。
(2)班別意見交換 4班に分かれ、本研修で感じたこと、クラブ運営上の課題やクラブ活動の活性化・充実方策などを主なテーマとして班ごとに活発な意見が交わされました。
 
 
[意見]
○階上中学校の活動報告を聞いて
 ・生徒が自ら考え、行動ができたことがすばらしい。日頃からの訓練の大切さを改めて実感した。
 ・防火活動はしていても防災活動はなかなかできていない。震災後、震災対応訓練を実施しているクラブは少なく、活動自体を見直し、防災についての活動を取り入れていく必要がある。
○東日本大震災後の取り組みについて。
 ・学校で5分間走ったり、屋上まで走ったり、5分間走れるための訓練や高所避難訓練を重ねている。
 ・掃除の班を指定して、高学年が低学年を引率して行く訓練をしている。
○災害図上演習(DIG)を見学して
 ・防災マップ作りと似たような感覚ででき、シールを貼りながらなど子供の興味をひくような方法であれば子供受けすると思う。
 ・マーキングの基準を統一してもらうと有難い。
 ・災害時要援護者のいる場所を認識しておく必要がある。
○応急手当入門コースを見学して
 ・対象を10歳以上といわず、低学年から講習受講してもいいのでは。小さい時からの教育が必要。
 ・子供への接し方が大変参考になった。興味を持つ、覚えてもらうためには子供への教え方の工夫が必要。
 ・応急手当入門コースを入口として、防災への意識を育めるのではないか。
○各訓練や活動に対する検定、資格
 ・様々な資格を設け、取得した資格に応じバッヂなどを作ると、それをつけることが子供の誇りとなり、次の目標ができる。全国的に取り入れてはどうか。
○今回の指導者研修で感じたこと。
 ・一部のクラブ員ではなく、学校全体で活動をすることが大切と思う。
 ・地域、地方によって災害の多少があるので、意識に差があることが判った。
 ・中学校で行う防災教育しか知らなかったので、全国に色々な体制や考え方があることが判った。今後に生かしたい。小学生から中学生の活動を再認識した。
 
(3)討議結果報告
 各班から出た意見を集約し、班の代表者が発表しました。
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